”急いで回れ”ということ
”急がば回れ”という言葉がある。
今の世の中は「タイパ」や「コスパ」という言葉が溢れています。
いかに苦労せず、最短距離で成果を出すか。
もちろん、会社経営として言うなら”システムを整え、無駄を省くこと”はとても重要なことです。
でも、こと”仕事の質”という事に関して言えば、効率ばかりだけを考えても上手くいかない。
"効率と仕上がり"はたしてどちらを優先するべきなのだろうか。
地道が一番
造園の仕事というのは時に遠回りになる様な事が必要になる場合があります。
“急がば回れ“とか”急いては事を仕損じる”とはよく言ったものだ。
小僧時代に掃除を任された時のことです。
頼まれた所までの掃除が終われば木を切らせてもらえるのだから、さっさと終わらせようとして仕事が荒くなる。
すると親方から、
「焦って掃除をしてもなかなかキレイにはならないよ。地道が一番だよ。」
と言われた。
確かに、仕上がりが悪ければやり直しになるのだから、より時間が掛かる事になる。
数年後にいくらか仕事を覚えたころには”なるほど、良い仕上がりにするには地道にやるのが一番だな”と思ったものだ。
丁寧な仕事≠時間を掛ける
このような話をすると、”丁寧な仕事というのは時間が掛かるんだな”と思ったのではないだろうか。
確かに丁寧な仕事をしようとすると時間は掛かります。
早く終わらそうと焦ると仕事は雑になる。
では、"時間を掛ける=丁寧な仕事をしている"ということなのだろうか。
答えはNOである。
”時間を掛ければ丁寧な仕事している”と履き違えてる職人がたまにいる。
”私は丁寧な仕事をするから時間が掛かるのだ”と。
こういう言い訳をする職人はだいたいが掛かった時間の割に仕上がりが良くない。
自分の手が遅いのを丁寧な仕事の所為にされては、本当に丁寧な仕事を心がけてる側からすれば迷惑極まりない。
それにどんなに丁寧な仕事をしていても、通常一週間で終わる工事を一ヶ月も掛けていては会社が大赤字になるか、お客様が相場の何倍ものお金を払うことになってしまう。
造園の仕事において”丁寧な仕事”と言うのは"やったから偉い"と言うことではなく、"やって当たり前"の事なのです。
これを"丁寧な仕事をしているから時間が掛かる"と偉ぶっている時点で勘違いも甚だしいのだ。

本当に良い仕事とは
では、どうすれば本当の意味で”良い仕事をした”と言えるのだろう。
丁寧な仕事はやって当たり前なのだから、その中でいかに早く終わらせられるか。
このスピードも含めて”職人の実力”なのではないだろうか。
時間を掛ければ誰でもある程度の仕上がりにはなる。
極論を言えば、一本の木の剪定に何年も掛けていいのであれば素人さんでもできる。
与えられた時間の中で、期待されている以上の結果を残し、時間を余らせる余裕をもつ。
そうすれば、さらに細かいところまで手が回り、より仕上がりが良くなる。
これは、”焦ろ”と言っているのではない。
”急げ”と言っているのだ。
焦って仕事をすれば仕上がりが悪くなる。
雑な仕事をするのでは無く、丁寧な仕事をしながら、手を早く動かし、現場の中で効率良く動き、無駄を無くす。
さしずめ”急がば回れ”ではなく”急いで回れ”と言うことなのだ。
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